菖蒲の織物

詩と写真とエッセイです。。。

友情のかたち #02

シカゴ生まれの、60代の先生がいらっしゃいました。

大学を卒業されてから、お仕事に就かれて、

銃撃戦の組合運動(!)などを経験されたのち、

40代くらいで、大学に戻り、

博士号を取得されて、政治学の講師になられた、

バリバリの叩き上げの先生でした。

 

エリートである、大学教授たちの多くは、

現場のことを知らない、とおっしゃっていました。

思考の速さでメールを打ち、

それがみな論文レベルの文章になるという、

一種の天才肌でした。

夜中まで、メールで勉強を教えていただきました。

 

ご自身は、はっきりとした信条を持ち、

反戦運動にも参加されていましたが、

私になにか考えを押し付けたり、

そういったことを一切しないかたでした。

人種の壁なんて、存在しないようでした。

青い、透き通った目で、何時間でも語り続けるのでした。

 

そんな先生ですが、

私にメールをくださった、ほんの1〜2時間後に、

突然亡くなられてしまわれました。

大学の非常勤講師で収入が安定しない中、

食費を削って、本代にあてるようなかたでした。

 

教えていただいた、Pete Seegerさんの、平和を願う曲です。

重装備で泳げない兵士たちに、川を渡れと、

無茶な命令を下す上官を痛烈に批判した歌です。

 

この先生の弟子であったことを、誇りに思います。

 


Pete Seeger - Waist Deep In The Big Muddy